2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革法」により、「限られた時間内で仕事の成果をあげること=生産性の向上」が企業の課題の一つとして挙げられるようになりました。この課題を解決するためには社員一人ひとりが意欲的に働き、仕事の質を高める必要があります。
そんなモチベーション高く仕事に取り組んでもらうための手段の一つとして、「快適なオフィス環境づくり」が挙げられます。まず、以下のアンケート調査結果をご覧ください。
※参考:一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)|オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド
実際に、一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)が行った調査「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」において、「オフィス環境の善し悪しは仕事の成果をあげることに影響するか」「仕事に対するモチベーションに影響するか」という設問に対して、約7割の人が「そう思う/ややそう思う」と回答しています。
つまり、オフィス環境が悪ければ仕事の成果やモチベーションが下がってしまう可能性があり、逆にオフィス環境が快適であれば生産性が向上する可能性が高いといえます。
では、社員の生産性を向上させるための「快適なオフィス環境づくり」は、どのように行えば良いのでしょうか?本記事では快適なオフィス環境を作る上でのポイントについて実例を交えながら解説していきます。
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快適なオフィス環境を実現するためには「スペース」「レイアウト」「ツール(オフィス家具)」が重要
まず、今回の記事の結論でもありますが、快適なオフィス環境は、「スペース」、「レイアウト」、「ツール(オフィス家具)」の3つの要素をうまく組み合わせることで実現することができます。
そしてオフィスで働く従業員にとって最適なスペース、レイアウト、ツール(オフィス家具)を考え抜くことにより、中長期的な従業員満足度や生産性向上へと繋がっていきます。
ただ、これだけではイメージが付きづらいかもしれませんので、例えば、新築の家もしくはマンションに引っ越したときのことを想像してみましょう。
多くの人は、新しい生活空間をいかにして快適にしようかと考えるはずです。日当たりの良いリビング(スペース)に、家族3人がゆったり座れる大きめのソファ(ツール(オフィス家具))を、テレビが見やすい位置に配置(レイアウト)する、といった具合に快適な家に住むための上記3つの要素をよく考えて設計するでしょう。
快適なオフィス環境づくりにおいても同じことが言えます。ですから、企業は社員にとって一番過ごしやすい環境とはどのようなものかをよく検討する必要があります。
では、社員は具体的にどのような快適さを求めているのでしょうか?この内容がまとめられたアンケート調査結果がありますのでご覧ください。
こちらも日本オフィス家具協会(JOFA)が行った調査結果で、オフィスのスペース・レイアウト・ツール(オフィス家具)に関する社員の重要度と企業の実現度の差をまとめたものです。
社員が重要視しているポイントとして、下記が挙げられています。
- 気軽にコミュニケーションが取れる
- 仕事に集中できる
- 打合せスペースが十分に確保されている
- リフレッシュできる場所が用意されている
- 身体に合った使い勝手の良いデスクやチェアが用意されている
前者4つは「スペース」「レイアウト」について、そして最後は、「ツール(オフィス家具)」に関する回答です。
これらのことから、社員が求めている快適さを実現するために、3つの重要な要素「スペース」「レイアウト」「ツール(オフィス家具)」を意識してオフィス環境づくりを行うことが重要であるといえます。
次章からは、それぞれを意識したオフィス環境づくりのポイントと実例をご紹介します。
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「スペース」を意識したオフィス環境づくりのポイント
はじめに、オフィス内の「スペース」を意識したオフィス環境づくりについて解説します。
ポイントは以下の通りです。
- 執務スペースは余白とバランスを大切に
- 心身をリフレッシュできるスペースを設ける
- 会議室はストレスを感じることがないよう工夫をする
それぞれ見ていきましょう。
1. 執務室は余白とバランスを大切に
オフィスの要とも言える執務室は、社員が1日の大半を過ごす場所です。執務室の環境が悪ければ、比例して、仕事の効率も下がっていってしまうでしょう。そのため、社員一人ひとりの執務スペースが適切かつ快適なものであるかを考える必要があります。
一般的に執務スペースを、広さ÷従業員数で計算した場合、6㎡が一人当たりにとって適切な執務環境の広さだと言われています。
もし、6㎡以下のスペースで業務を行うと、社員のストレスを増やしてしまう危険性があるでしょう。逆に、これより広ければ、もしかしたら無駄なスペースを作ってしまっている可能性もあります。
執務室にあるのはデスクだけではありません。コピー機やウォーターサーバー、シュレッダー機、棚など、様々なオフィス家具やミーティングスペースの配置を考える必要があります。
また、社員がオフィス内をストレス無く移動できるような導線設計や、余白を残しておくことも大切です。
執務室は、全体のバランスをよく検討するようにしましょう。
2. 心身をリフレッシュできるスペースを設ける
リフレッシュスペースとは、「息抜きができ、心と身体の健康を維持できるような空間」のことです。緊張感のあるワークスペースとは違った環境を楽しむことができ、気分転換にもなるので魅力満載の空間です。
リフレッシュスペースを設けることのメリットとして、以下が挙げられます。
- リフレッシュすることにより社員のストレス軽減につながる
- 仕事のオンとオフの切り替えができるので、仕事にメリハリができて、結果的に仕事の効率が上がる
- 社員が気軽に訪れやすいスペースにすることで、社内コミュニケーションの場として活用できる
また、リフレッシュスペースをつくる時のポイントとして、くつろぎやすい雰囲気・家具・グッズを提供することが重要です。以下のように工夫すると良いでしょう。
- カフェのような落ち着いた温かみのある空間を演出する
- 木のぬくもりを感じさせる家具を設置する
- ソファを設けるなど、ゆったりとくつろげる空間にする
- フリードリンクやお菓子を用意しておく
- 気分転換になる雑誌や本、ゲームなどを用意しておく
- デスクワークで凝り固まった体をほぐすためのマッサージグッズを用意しておく
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- リフレッシュスペースをさらに詳しく知りたい方は「オフィスに必要なリフレッシュスペースとは?快適を実現する3つの方法」もご覧ください。
3. 会議室はストレスを感じることがないよう工夫をする
企業の重要な意思決定を行うための会議室スペースは、日常的に多くの社員が使う場所でもあるので、快適に過ごせるような設計が必要です。狭く圧迫感のある会議室だとストレスを感じ、会議が円滑に進まないということもあり得ますので、余裕を持った広さを確保することが大切でしょう。
また、会議室の代表的なレイアウトには以下の3種類があり、参加する人数や目的に応じて最適なレイアウトを選択することで、参加者が集中できる会議室をつくることができます。
- スタンダードタイプ
- セミナールームタイプ
- カンファレンスルームタイプ
レイアウトだけでなく、内装デザインの工夫も重要です。なぜならば、会議室スペースの壁や床、あるいはインテリアの色味や素材が人に心地よい印象を与え、会議が円滑に進む要因となるからです。
あくまで一例ですが、以下のように工夫すると良いでしょう。
- 壁紙をレンガ調にし、おしゃれなカフェのように演出する
- 観葉植物を置き、緑を感じさせることでリラックスできる空間にする
- ガラスの仕切りを使うことで明るく解放感のある空間にする
- 木のぬくもりを感じさせるデスクやチェアを使用する
- 床材にモノトーンなタイルを使用してモダンな雰囲気を演出する
閉じた空間である会議室に対し、社員間の情報共有やアイデア出しを目的としたオープンなコミュニティスペースを設けるのも生産性を向上させるために役立つでしょう。
上の写真にあるファミレス席はその一例です。
会議室が埋まってしまい、打ち合わせをするスペースがない、会議室予約を忘れてしまった...といった状況でも気軽にミーティングができる場所があれば、ストレスを感じることなく会議や打ち合わせを円滑に進めることできます。
また、ミーティングスペースをつくるポイントとして、気軽に打ち合わせできる環境にすることが重要です。あくまで一例ですが、以下のように工夫すると良いでしょう。
- ファミレス席で開放的なスペースにする
- おしゃれなカフェ風のデザインに統一し、リラックスして会話ができる空間にする
- 卓球台を活用するなど遊び心を取り入れ、楽しみながら自然と交流ができる空間にする
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- 会議室スペースをさらに詳しく知りたい方は「オフィスのミーティングスペース事例7選!アイディアや注意点をご紹介」もご覧ください。
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「レイアウト」を意識したオフィスづくりのポイント
次に、オフィスの「レイアウト」を意識したオフィスづくりについて解説します。
ポイントは以下の通りです。
- 狭さを感じないゆとりを持ったデスク配置
- 関係の深い部署を近くに配置
- フリーアドレス制のワークスペースを設ける
1. 狭さを感じないゆとりを持ったデスク配置
オフィス内の狭さを感じる要因として、オフィス内の移動に対するストレスが挙げられます。狭い通路での接触は、お互いにとって快適さを阻害する要因になります。
以下の表と図は、オフィスで十分な移動スペースを確保するためにデスク間に設けておきたい距離の参考値です。
距離 | 想定される配置 |
---|---|
120cm以上 | 座席の後ろが壁面の場合 |
140cm以上 | 壁面に収納庫を備え付ける場合 |
90~120cm | デスクを横並びにした場合 |
150~180cm | デスク同士が背を向ける場合 |
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- デスク配置についてさらに詳しく知りたい方は「オフィスが狭いと感じる方必見!リフォームいらずで取り組む4つの施策とは?」もご覧ください。
2. 業務の関連の深い部署を近くに配置
日常的にブレストミーティングをしたり、確認作業が頻繁に発生するチーム同士などを近くの席に配置したりすることで、他部署との相談や連携がスムーズになり、仕事の進行スピードが上がるメリットがあります。
関連の深い部署が別フロアにあったり、自部署との距離が遠かったりすると、時間のロスが発生し生産性が下がる可能性があります。そのため、上の写真のように部署ごとに島型でデスクを配置し、関連の深い部署を近くに配置するのがおすすめです。
3. フリーアドレス制のワークスペースを設ける
フリーアドレスとは「フリー=自由、アドレス=住所」と訳することができ、つまり社員の席を固定せずに好きな席で仕事ができる制度のことです。近年では多くの企業が導入するようになり、年々人気が高まっています。
このフリーアドレスを設けることで、他部署やチーム外の人と積極的にコミュニケーションをとる機会が増え、また、気分転換がてらに他の席に移ることで環境を変えて仕事できるなどのメリットがあります。ただし、日によってどの社員がどの席を利用するかが異なりますので、「私物を置かない」「汚した箇所は綺麗にする」といったルールを設けるなど、全員が快適に利用できる仕組みが必要です。
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- フリーアドレスをさらに詳しく知りたい方は「オフィスにフリーアドレス制を導入するための5つの秘訣」もご覧ください。
「ツール(オフィス家具)」を意識したオフィスづくりのポイント
3つ目のポイントである、「ツール(オフィス家具)」について解説していきます。
1日のうちで最も身体に触れる時間の長いデスクやチェアは、何を選ぶかによって、仕事の生産性に大きく影響します。
ポイントは以下の通りです。
- 自分の身体にフィットした幅・高さのデスクを選ぶ
- 長時間座っても疲れないチェアを選ぶ
それぞれ見ていきましょう。
1. 自分の身体にフィットした幅・高さのデスクを選ぶ
最近では、デザイン性だけでなく、人間の身体の構造に最適なかたちで設計された、優れたデスクやチェアが販売されています。
もし「身体に合っていない」「使い心地が悪い」と感じるものを使用していると、疲労が蓄積していき、集中力も低下してしまいます。
自分に合ったデスクを選ぶために重要なポイントの一つが、「幅」です。
日常的にノートパソコン1台のみで仕事をする方は、1,000mm幅もしくは1,200mm幅のデスクが適切です。また、デスクトップ型やノートパソコン+外部モニターを置いて仕事をする方であれば、1,200mm〜1,400mm幅の少しスペースに余裕のあるデスクを選ぶと良いでしょう。
次に、デスクの「高さ」も重要な要素となってきます。自分の座高に応じて、身体に負担が掛からない高さのものを選ぶ必要があります。チェアの高さだけでは調整できない場合は、700mm・720mmといった標準的な高さに加え、高さが上下昇降するデスクもありますので自分に合った高さのデスクを検討しましょう。
2. 長時間座っても疲れないチェアを選ぶ
仕事を快適に行う上で、長時間座っても疲れないチェアを選ぶことも大切です。
オフィスワーカーの場合、1日のほとんどの時間をオフィスで過ごすことになります。そのような状況で、最も身体に触れる面積が大きいチェアを安易に選んでしまうと、後々後悔することになります。
自分に合わないものを使用していると、身体的な疲労やストレスを溜める原因にもなり、仕事の効率にも関係してきます。
どのようなチェアを快適と感じるかは、身長や体重、姿勢などにより個人差が非常に大きいため、実際に店頭で座って試してみるのが良いでしょう。
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- オフィスのインテリイアについては別記事「インテリアで変わるオフィスの働きやすさ!おすすめメーカーと事例を紹介」もご覧ください。
まとめ|「スペース」「レイアウト」「ツール(オフィス家具)」で快適なオフィスを実現
快適なオフィスを実現するためには「スペース」「レイアウト」「ツール(オフィス家具)」を意識したオフィスづくりが重要であることや、オフィスをつくる上でのポイントを解説してきました。
社員が求める快適なオフィス環境を実現することで、仕事に対するモチベーションを高め、仕事の成果向上に役立てることができます。
今回ご紹介したポイントをすべて行うのは予算的にも難しい面があると思いますが、一つずつでも良いのでオフィス環境を改善し、社員の生産性向上につなげましょう。
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