オフィス移転やリニューアルはオフィスデザインを見直す良い機会です。
お客様への第一印象を良くする、優秀な人材の確保(採用)と流出防止(離職)など社外に向けたブランディングを高めたいのであれば絶好のチャンスです。
そこで今回は小規模だからこそ、こだわれるオフィスデザインのポイントについてご紹介します。
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小規模オフィスの定義とは?
社員5〜6人程度のオフィスを小規模オフィスとイメージされることが多いように思いますが、特に小規模オフィスの定義が決まっているわけではありません。
参考として、一般社団法人 日本ビルヂング協会連合会による規模別オフィスの定義を引用したいと思います。
当法人では、延床面積が1,000坪(3,300㎡)未満を小規模ビルとしています(※1)。
これでは少々イメージが湧きにくいかもしれませんので、わかりやすい例を挙げます。
同じく、当法人がビルの規模別にエレベーターの平均設置台数を調べたところ、小規模ビル 1台、中規模ビル 2台、大規模ビル 9台だったそうです。
これだとイメージしやすいのではないでしょうか。
また、一人当たりのオフィス面積についての調査も行われています。
(一社) 日本ビルヂング協会連合会の調査では、小規模ビルの一人当たりのオフィス面積は、4.1坪(13.6m²)でした(※2)。
オフィスフロア全体の面積における社員一人当たりの必要面積については、法令によって定められており、労働安全衛生規則では「社員一人当たり、気積(室内の空気の総量)が10m³以上」必要であるとしています(※3)。
面積に換算すると、1.21坪以上(4m²以上)になります(※4)。
(一社) 日本ビルヂング協会連合会の調査を見ると法令で定められている面積よりかなり余裕があるように見えます。
しかし、注意しなければならないのが、収納スペースやミーティングスペースなど、最低限のオフィス機能を設ける必要があるということです。
在籍人数(出社人数)分のワークスペースを十分に確保できるか確認しておきましょう。
※1)小規模ビル(延床面積1,000坪未満:3,300m²)中規模ビル(延床面積1,000坪以上、3,000坪未満:3,300~9,900m²)大規模ビル(延床面積3,000坪以上:9,900m²~)
※2)一般社団法人 日本ビルヂング協会連合会が発表したビル実態調査(平成25年版) 一人当たりの床面積の平均は、小規模ビルで4.1坪(13.6²)、中規模ビルで3.9坪(13.2m²)、大規模ビルで3.7坪(12.3m²)
※3)厚生労働省:労働安全衛生規則 第三編 第三章 気積及び換気
※4)一般的なオフィスの天井高2.5〜2.6mで計算。10m³ ÷ 2.5m = 4m²
小規模オフィスのメリット・デメリット
小規模オフィスの最大のメリットは、コストを掛けずにオフィスを設えることができるという点です。
賃料が低く抑えられることはもちろんですが、人数も少ないために用意しなければならないオフィス家具やOA機器、備品の数も比較的少なくてすみます。
そのため、結果的に必要なコストを抑えることができます。
また、家具や内装のイメージが統一しやすいという点もメリットです。
限られた空間だからこそ素材や色がバラバラになり、統一感がなくなるといった危険性を最小限に抑えることができます。
揃える家具も多くありませんので、全体のデザインやバランスを考慮した選定がしやすいのではないでしょうか。
コミュニケーションが取りやすいことも小規模オフィスのメリットです。
小規模オフィスでは、だいたい社員の座席は固めて配置されるため、お互いの顔を見ながら仕事をすることになります。
したがって、自然とコミュニケーションが取れる環境になりますし、進捗状況や現在の作業内容などを互いに把握しやすく、チーム連携を図るのに良い環境だと言えます。
反対に、小規模オフィスのデメリットです。
小規模なだけに狭く設置する家具やレイアウトを工夫しなければ、精神的にも肉体的にも窮屈で仕事がしにくい空間になってしまいます。
オフィスには、ワークスペース、ミーティング・応接スペース、リフレッシュスペースなど、その機能性から必要なスペースがたくさんあります。
また、必要に応じてパーテーションで空間を分けなければならないこともあります。
しかしながら、限られた空間ではすべての要望を満たすことはできません。
何を優先し、何を犠牲にするのか、この悩みこそが小規模オフィスの最大のデメリットと言えるのかもしれません。
まずはオフィスのデザインコンセプトを決めよう
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いきなりデザインを考えるのは待ってください!
オフィスをデザインする前に、オフィスからどんなメッセージを発信したいか、どんなテイストの空間にしたいのかを決める必要があります。
社員に対してビジョンや理念を浸透させたり、あるいは、お客様や求人の応募者など社外の人の心に残るようなインパクトのあるオフィスデザインを実現したいのであれば、デザインコンセプトをしっかりと決めることが重要です。
ぼんやりと「かっこいいオフィスにしたい」というイメージだけで、デザイン性の優れたブランド品のデスクやチェアを配置しても、オフィス全体の雰囲気が統一されていなければ、その価値を活かすことはできません。
「“木”と“緑”が調和しあう空間(植物や自然光を上手に取り入れた働きやすいオフィス)」、「ポップで賑やかなオフィス(社員同士の繋がりを大切にしている)」など、まずはデザインコンセプトを決めて、それに合わせた内装や家具をデザインに取り入れていきます。
オフィスは空間の雰囲気だけではなく、機能的であることも重要なポイントです。
「社員間のコミュニケーションが活発に行われる」「リラックスした雰囲気で仕事ができる」など、機能や使い勝手についても考慮してコンセプトを決定することが重要です。
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小規模オフィスのデザイン3つのポイント
デザインコンセプトを決めたら、いよいよデザインに取り掛かります。
本章では、小規模オフィスにおけるデザインのポイントを3つに絞って解説します。
1. パーテーションと収納を兼用できる機能的な家具を活用する
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- 小規模オフィスではパーテーションと収納を兼用にしてスペースを活用することは有効な手段です。
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- 壁収納としても設置いただけます。1列・2列・3列・・・と連結して使用できますのでオフィスのスペースに合わせて調節します。
小規模オフィスのデザインやレイアウトを考えるのはとても難しいものです。
大規模なオフィスとは違って、限られたスペースに使用目的に応じた空間を設けていかなければならないからです。
だからこそ、小規模オフィスのデメリットである「悩み」を知恵とアイデアで解決し、こだわり抜いたオンリーワンのオフィスを形にしていきましょう。
収納スペースをどのように確保していくかは小規模オフィスの課題です。
解決方法の一つとして、空間を仕切るパーテーションに収納キャビネットを活用する方法があります。
小規模オフィスではスペースに余裕がないため、ワークスペース・会議室・応接室の3つの部屋を同時につくることは難しいでしょう。
したがって、スペースを有効活用する方法を考えなければなりません。
そこで、ワークスペースと会議スペース兼応接室というレイアウトが考えられます。
スペースとスペースの間にパーテーションなり衝立を立てる必要がありますが、収納キャビネットを衝立をして利用すれば、収納スペースを確保することができます。
その他には、壁面にピッタリと設置する収納棚を活用する方法もあります。
ちょうど良いものがなければ造作棚を取り付けることもできますので業者に相談してみると良いでしょう。
2. 視線を遮らないことで空間を広く見せる
パーテーションのような視界を遮る物がなく「抜け」があるので空間が広く見えます。
小規模オフィスでは、視線が遮られるとどうしても窮屈に感じてしまうことがあります。
窮屈なオフィスは精神的なストレスにも繋がり、社員が快適に仕事ができる環境だとは言えません。
そんな時に意識したいのが、目の前を遮るようにパーテーションを設置しないことです。
あるいは、透明なガラスパーテーションを採用するのも良い方法です。
できるだけ視線を遠くに持っていくように「抜け」をつくります。
そのようにすれば、同じスペースでも視覚効果によって広く感じることができます。
収納キャビネットを選ぶ際にも、着席しながらでも視線を遮らない背の低いものを選んで設置すると良いでしょう。
詳しくは、関連記事「小規模オフィスで参考にしたい、パーテーションになる木製キャビネット」を参考にしてみてください。
3. オフィスデザインの統一感は内装と家具の調和を意識する
オフィスのデザインは、細かいところまでこだわってこそ統一感のあるオフィス空間ができあがります。
確かに家具や内装のイメージが統一しやすいという点は小規模オフィスのメリットですが、内装と家具のデザインのバランスを考えず、気に入ったデザインや色の家具を選んだために統一感のない空間になってしまうことがあります。
室内の内装と家具がうまくマッチしなければ、イメージした空間にはなりません。
どこか一部にだけこだわるのではなく、最初に決めたデザインコンセプトを土台にして内装と家具の調和が取れたオフィス空間をつくることが大切です。
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ゾーニングの考え方も意識しよう
機能的で使い勝手の良いオフィスを実現するには、ゾーニングも重要なポイントです。
ゾーニングとは、エントランス・執務スペース・休憩スペース・通路・・・といったように、オフィススペースを必要な機能スペースごとに区分けすることです。
執務エリアや会議室、リフレッシュスペースをどこに配置し、また収納庫や複合機などの事務機器をどこに配置するのが適切かなど、実際に業務を行う社員の動線や使い勝手に配慮しながら決めていきます。
小規模オフィスは、その限られた空間に効率よく備品を配置していく必要があります。
先ほど述べたように、壁面を使って収納スペースをつくる、一つのスペースに複数の機能(来客&打合せなど)をもたせるなど、ゾーニングをデザインに上手に反映させ、かっこいいだけでなく、使い勝手よく、業務効率をあげられるオフィスを目指しましょう。
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小規模オフィスだからこそ家具にはこだわる
小規模なオフィスだからこそ、その空間に配置される家具は存在感を発揮し、空間全体の雰囲気を左右する重要なポイントとなります。
オフィス移転やリニューアルには多くの段取りが必要ですので、家具の選定にまで細やかに目を向けることは難しいかもしれません。
しかし、そこで妥協してしまうとデザイン的にまとまりのない空間になってしまうだけでなく使い勝手の悪いオフィスになってしまうかもしれません。
だからこそ、「これでいい」ではなく「これがいい」という選択をしてコンセプトを大切にして、自分たちの働き方に合った家具を採用するようにしましょう。
家具の選定やオフィスデザインを考えることに集中できる時間をなるべく多く確保できるよう、面倒な作業は、移転から内装デザイン・施工までワンストップで請け負っている会社にまかせてしまうこともおすすめします。
おしゃれな小規模オフィス事例5選
最後におしゃれな小規模オフィスの事例をご紹介します。
小規模オフィスの定義は決まっていませんが、多くの方が「小規模」だとの認識を共有できることを前提として、70坪以下のオフィスに限定して5例を選びました。
株式会社アイジーコンサルティング 様
坪数 : 約24.87坪 / 施工期間 : 1ヵ月(工期のみ)
殺風景な倉庫とシンプルな内装だったオフィスを木目とホワイトを基調としたおしゃれなオフィスへとリノベーションされた事例です。
倉庫だったスペースをワークスペースとして改良し、天井緑化によってリラックス空間を演出しました。
緑は欲しいけども観葉植物の鉢植えを床に並べてしまうと通行の邪魔になることも考えられます。
天井を有効活用し、おしゃれな空間をデザインするのに天井緑化を検討してみるのもおすすめです。
株式会社LillyHoldings 様
坪数 : 約25坪 / 施工期間 : 1ヵ月(工期のみ)
木目調と黒で統一された空間はとても洗練された印象を与えてくれます。
空間を広く見せる効果のある膨張色ではなく、収縮色の黒を採用しているため、レイアウトによっては窮屈な感じを受けてしまいかねません。
こちらの事例では、ワークスペース内に視線を遮るようなパーテーションを設置しない、ミーティングスペースのパーテーションはガラスパーテーションを採用するなどの工夫をされています。
ダブルエース株式会社 様
坪数 : 約37.44坪 / 施工期間 : 1ヵ月(工期のみ)
こちらの事例は、フリーアドレスオフィスで、フレキシブルな働き方ができるオフィスとして人気のあるオフィス形態を採用した事例です。
ワークスペースには、フリーアドレス席、カウンター席、ファミレス席(ミーティングスペース)、リフレッシュスペースがあり、それぞれのスペースを隔てる高い壁はありません。
服部商事株式会社 様
坪数 : 約37.51坪 / 施工期間 : 1ヵ月(工期のみ)
限られたスペースの活用方法に苦心されたというこちらの事例の企業様は、社員が快適かつ効率よく仕事ができる環境づくりを第一に、オフィスづくりを目指されたそうです。
こだわったポイントは、「デザイン性と機能性の両立」。
エントランスのデザインから照明の演出、壁紙の色、オフィス家具に至るまで、全体の調和を考えたエレガントな印象のオフィスでありながら、高い防音機能を備えた会議室、社員が気持ちよく働けるワークスペースといった機能性も重視したオフィスを構築しました。
株式会社キャリアマート 様
坪数 : 約67坪 / 施工期間 : 1ヵ月(工期のみ)
席数を多く設置したいが、狭さを感じないようにして欲しいとのご要望がありました。
エントランスとワークスペース内のパーテーションにはガラスパーテーションを採用し視線を遮らない、デスクレイアウトは島ごとの間隔を空けることで閉塞感を感じないようにしました。
また、全体的に統一されたナチュラル・ホワイト系の内装や家具の色味が空間を広く見せるのに一役買っています。
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