防音性の高い会議室を設けたい、周囲から作業状況が見えないようにセキュリティ対策をしたい、デザインされたエントランスを作りたいなど、オフィスの空間を間仕切って使いたいと考えたことはないでしょうか。
オフィスの空間を間仕切ることは、単に空間をデザインするだけでなく、その空間の利用目的を明確にし、社員の働き方にも影響をあたえます。
本コラムでは、空間を間仕切る方法の違いによるそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
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オフィスの空間を間仕切る4つの方法
オフィスの空間を間仕切るには大きく分けて4つの方法があります。
ここでは、それぞれが持つ特長をご紹介します。
- 造作壁
- 施工型パーテーション
- ローパーテーション
- オフィス家具
造作壁
木材や軽量鉄骨(LGS)を使用して壁面をつくり間仕切る方法です。
壁面をつくる際の自由度が一番高く、防音などが求められる場合にも柔軟に対応ができるため、デザイン性と機能性の両面をあわせ持つことができるのが特長です。
施工型パーテーション
オフィスの空間を間仕切る際に最も多く使用されるのが施工型パーテーションです。
防音性が高いスチールパーテーション、デザインが豊富なアルミパーテーション、開放感があるガラスパーテーションなど、用途やデザインによって選択肢が多いのが特長です。
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ローパーテーション
参考:ローパーテーション
置き型のパーテーションで、簡易的な衝立として、また扉を付けて空間を部屋として使用するなど、その組み合わせにより様々な使い方ができます。
置き型のために躯体への専門的な工事の必要がなく、設置に時間はかかりません。また、移動や撤去が容易であることからレイアウト変更などにも対応しやすいのが特長です。
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- ローパーテーションの選び方や用途別商品については、「おしゃれで機能性も抜群、オススメのローパーテーション13選!」をご覧ください。
オフィス家具
壁面をつくるのではなく、オフィス家具を利用して空間を間仕切る方法です。
収納家具を使用して空間を間仕切ったり、ソファブースやパネルソファを使用して多目的に利用できる空間をつくったり、オフィス家具を上手に活用することでオフィスの空間を間仕切ることができます。
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- 木製キャビネットを使用して空間を仕切る方法をご紹介しています。詳しくは、「小規模オフィスで参考にしたい、パーテーションになる木製キャビネット」をご覧ください。
空間を仕切る4つの方法(造作壁・施工型パーテーション・ローパーテーション・オフィス家具)の特長を比較しやすいように表にまとめてみました。
デザイン性 | 防音性 | 工期 | コスト | |
造作壁 | ◎ 塗装、壁紙、木、石やタイルで仕上げるなどデザインの自由度が高い |
◎ 防音材、プラスターボード2重張りで防音性能を高めることができる |
△ 複数の工程があり工期がかかる |
△ オーダーメイドでつくるために都度見積りとなり仕様によっては高価 |
施工型パーテーション | ○ ガラスパネルやダイノック張りなどでデザインの自由度がある |
○ スチールパーテーションにすることで防音性を高めることができる |
○ 大規模でなければ数日で完了 |
○ スチール・アルミ・ガラスなど種類により価格差あり |
ローパーテーション | △ デザインは決まった種類からしか選べない |
△ 防音効果は殆どない |
◎ 1日で設置が可能 |
◎ 既製品を使用するので比較的安価 |
オフィス家具 | △ 既存品からしか選べず、商品の背板が仕上げられている必要がある |
× 防音効果はない |
◎ 1日で設置が可能 |
◎ 主目的で使用する家具を活用するために追加コストは殆どない |
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- 自社のオフィス環境に合わせたパーテーションの選び方については、「4種類のパーテーションから考える、自社に合った選び方とは?」でご紹介しております。是非、あわせてご覧ください。
オフィス空間を間仕切る4つの方法のメリット・デメリット
オフィス空間を間仕切る4つの方法と特長についてご紹介しました。
次に、ご紹介した各間仕切りのメリットとデメリットを解説します。
1. 造作壁
造作壁は、オフィスの空間を間仕切る方法として一番自由度が高く、デザイン性と機能性の両方をあわせ持ちます。木材や軽量鉄骨(LGS)を用いた内装工事となるので、サイズ、機能、デザインなど完全オーダーメイドでつくることができます。
全てオーダーメイドでつくるため、表面の仕上げを塗装、壁紙、木、石やタイルで仕上げるなどデザインの自由度が高いほかに、機能面を高めるために壁の中に防音材(グラスウールや発泡剤)を入れたり、壁面の下地材となるプラスターボードを2重張りにしたりして防音性を高めることもできます。
デザイン性や機能性を高めることができる反面、オーダーメイドとなりますので工期とコストがかかります。
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- 造作壁は、木材や軽量鉄骨の柱に下地材を張り、仕上げを行うため、工期とコストがかかります。
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- 造作壁で防音性を高める場合、壁面内部に防音材を入れ、下地材を2重張りにすることで防音性を高めます。
また、建具となる扉も建材メーカーの既製品を使用したり、オーダーメイドで取手などの金物を使って扉面のデザインを一からつくったりする方法もあります。 デザイン性や機能性を用途によって選ぶことができるため、デザイン性が求められるエントランスや防音性が求められる会議室などに使用されます。
- ▼ 造作壁のメリット
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- デザインや機能面の自由度が高く、自由な設計が行える。
- 防音性が非常に高い。
- ▼ 造作壁のデメリット
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- 大工工事となるため、コストが高く施工期間も長くなる。
- 撤去する際もコストや解体期間が長くなる。
- 場合によっては消防法などの法律を満たす必要がある。
2. 施工型パーテーション
オフィスの間仕切りでもっとも利用されているのが、施工型パーテーションです。
「スチールパーテーション」「アルミパーテーション」「ガラスパーテーション」と3つの種類に分けられ、それぞれ特長も異なります。施工性が良く、数日で終わることも多いため、工期やコストは造作壁より低く抑えられます。
① スチールパーテーション
スチールパーテーションの特長は、シンプルなデザインと防音性です。
構造的にフレーム部分が露出しないため、スッキリしたパネルが印象的です。防音性を高めるために、スチール製パネルの裏にプラスターボードが張られています。
スッキリしたパネルを活かし、ダイノックシートなどでパネル面を装飾することにより空間のイメージをガラッと変えることができます。
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- 装飾をしないスチールパーテーションは、スッキリとしたパネルが印象的。
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- ダイノックシートでパネル面を装飾すると印象がガラッと変わります。
② アルミパーテーション
アルミフレームと樹脂化粧合板パネルで構成されており、単色カラーや木目などの豊富なデザインパネルの中から様々な組み合わせができるため、多様なデザインが可能です。
最近では、アルミ色のフレーム以外にもホワイトフレームやブラックフレームが登場し、デザインのバリエーションが豊富になったことからデザイン性に優れた見栄えのよい間仕切りが増えています。
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- ホワイトフレームとガラスの組み合わせで、間仕切りも軽やかな空間に。
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- ブラックフレームとガラスの組み合わせで、シャープで引き締まった空間に。
③ ガラスパーテーション
ガラスパーテーションは、パネル部分をガラスで構成したパーテーションです。構造的に上記のスチールとアルミどちらのパーテーションでもガラスを使うことができます。
ガラスの素材が持つ透明感を活かし、光を取り込むことで開放的な空間をつくることができます。また、ガラス面にフィルムを貼り、半透明にして目隠しをしたり、デザイン性のある装飾を施したりすることもできます。
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- スチールパーテーションにガラスを使用すると、フレームがないため全面が開放された印象に。
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- アルミパーテーションにガラスを使用すると、フレーム色とのバランスでデザイン性が高まります。
- ▼ 施工型パーテーションのメリット
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- パネル、ガラス、スチールなど用途により選べる。
- 造作壁よりコストが安い。
- 施工期間が短い。
- 撤去する際の解体期間が短い。
- ▼ 施工型パーテーションのデメリット
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- 造作壁に比べるとデザインの幅は狭くなる。
- 場合によっては消防法などの法律を満たす必要がある。
3. ローパーテーション
躯体への専門的な工事の必要がない置き型のパーテーションです。一般的にはオフィス家具の分類に入ります。簡易的な衝立としてパネルを組み合わせて使用するタイプから、扉を付けて空間を部屋として間仕切るタイプまで用途に合わせて様々なタイプがあります。
パネルには、樹脂化粧合板、ファブリック、ポリカーボネートなどがあり、単色や木目などの種類もあります。また、設置場所の目的に合わせて高さを選ぶことができます。
- 高さ1200mm:着座時に目線が遮られるため、デスクで仕事に集中したい場合
- 高さ1600mm:着座時に身体が隠れるため、半個室として間仕切りたい場合
- 高さ1800mm:立位時に目線が隠れるため、空間をしっかりと間仕切りたい場合
設置は比較的簡単に行えますが設置できるサイズや組み合わせに制限があり、空間を大規模に間仕切る場合や直線距離の長い設置には向きません。
- ▼ ローパーテーションのメリット
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- 設置や移動が容易にできる。
- 導入コストが安い。
- ▼ ローパーテーションのデメリット
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- デザインが限られている。
- 音漏れが発生する。
4. オフィス家具
収納家具、フラワーボックス、ファミレス席などオフィス家具を利用して空間を間仕切る方法です。壁面を立てるわけではないので、ゆるやかにオフィスの空間を間仕切ることができます。既存家具を利用して間仕切ることもができますが、その際に注意するポイントがあります。
- 背の高い家具は転倒の危険があるために使用しない(高さは1200mm位に抑える)
- 背板がしっかりと仕上げられている家具を使う(背面処理がされている家具を使う)
- ※設置スペースがある場合は、背板が仕上げられていなくても両面背中合わせで使用できます。
オフィス家具による間仕切りは、社内利用が中心のスペースを間仕切る場合に多く活用されるのが特長です。
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- 【木製キャビネット メティオ】木製収納を使用すると、デザイン性と収量力の向上が両立できます。
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- 【パネル付きソファ ハイビス】ファミレス席は、設置するだけで多目的に使用できる空間をつくれます。
- ▼ オフィス家具のメリット
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- 間仕切り以外での用途で活用できる。
- 導入コストが安い。
- ▼ オフィス家具のデメリット
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- 高さは求められない。
- 音漏れが発生する。
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造作壁や施工型パーテーションの設置前に確認すべき2つのポイント
専門的な工事が必要となる造作壁や施工型パーテーションを設置する際に、注意すべきポイントが2点あります。
1. 消防法への抵触
造作壁で天井まで壁面を立てて空間をつくった場合や、施工型パーテーションで欄間(※)部分を閉じた場合、それぞれひとつの独立した個室とみなされて消防法に抵触します。そのため、煙感知器、熱感知器、スプリンクラー、非常灯などの設置が必要です。
特に、スプリンクラーの場合はヘッド位置と間仕切り壁の設置位置により散水障害となる可能性があるため、スプリンクラーの設備図面(天井伏図)と間仕切り壁の図面(平面、展開)を用意して管轄の消防署の予防課に相談を行う必要がでてくるなど、工事前の準備がいろいろと発生します。
なお、施工型パーテーションの注意事項については、関連記事にFAQ形式でまとめていますので参考にしてください。
※)欄間とは、パーテーションの上部にあたる部分を指します。パーテーションの上部と天井に隙間があるタイプを「欄間オープン」、隙間がないタイプを「欄間クローズ」といいます。欄間を空けずに天井まで閉じる(欄間クローズ)場合、様々な規定があります。こちらの記事「 パーテーションの欄間は空けるか空けないか?2種類の特徴を徹底解説 」にて、解説していますのであわせてご覧ください。
2. 天井のタイプを確認する
オフィスの天井タイプには大きく3つのタイプがあります。
- グリッド型システム天井
- ライン型システム天井
- 従来工法天井
天井のタイプによってはパーテーション工事が難しい場合がありますので、事前に確認しましょう。
グリッド型システム天井、ライン型システム天井の場合は、天井設備の位置変更を容易にできることを目的とした天井のため、造作壁や施工型パーテーションなどで間仕切る際に発生する設備工事の工期やコストを抑えることができます。
従来工法天井の場合は、工事箇所の天井を落とし、配線や設備などの工事を行い、さらに天井補修を行います。設備工事のほかに内装工事も必要となり追加コストが発生します。
このように、天井のタイプにより発生する工事が異なるため、工期やコストに違いがあります。
- 関連記事
- パーテーション工事については、「パーテーション(間仕切り)工事前の確認事項」「賃貸オフィスにおけるパーテーション(間仕切り)工事の注意点」にて詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご確認ください。
間仕切りを活用したオフィス事例6選!素材やレイアウト別に解説
では、どのような目的でオフィスを間仕切ったのか、間仕切りをすることでどのような効果があったのか、実際に間仕切りを有効活用した事例をご紹介します。
1. 企業ブランディングを高めるエントランス(造作壁)
車などのエンジン冷却機材ラヂエーターの製造を行っており、新卒リクルーティング用に事務所を一新したいというご要望を受け、カンパニーカラーの赤とラヂエーターをモチーフにした素材感で企業ブランディングを印象付けるエントランスに設えました。
2. プロジェクターを有効活用した会議室(造作壁)
会議参加者が画面を共有しやすいように、会議室でプロジェクターを使用したいとのご要望を受けました。
重量物を設置するためには下地補強が必要なこと、既存壁は補修が必要になることを考慮して造作壁を追加、プロジェクターを設置できる会議室に設えました。
3. エグゼブティブとカジュアル、異なる空間イメージの会議室(施工型パーテーション)
会議の内容によって会議室の使い分けをしたい、社員の会議を活発化したいというご要望から、落ち着いた雰囲気での議論や重要な意思決定を行う際はエグゼブティブ、アイデア出しや情報共有などリラックスした打ち合わせをする際はカジュアル。使用目的によって使い分けできるような会議室を設えました。
4. 用途にあわせて可変する空間(可動式パーテーション)
会議室をスライディングウォール(可動式パーテーション)で仕切ることによりスペースを分けたり拡張して使用することが可能になりました。必要に応じて壁面を移動させ、用途にあわせた空間を簡単につくることができるパーテーションです。
5. 集中力を高め、隣席とのセキュリティを考えた執務スペース(ローパーテーション)
業務内容から個々が集中して仕事ができる環境、そして機密性の高いセンシティブな情報を取り扱うことから情報セキュリティ面との両立を図るため、隣席との間をローパーテーションで間仕切りました。同時に落ち着いた木目のパネルを使用して高級感を演出しました。
6. オフィス家具を利用した間仕切り
オフィス家具を利用し、固定席とフリーアドレスを間仕切りました。ゆるやかに空間が分けられているため、働く社員としての一体感がありつつ、固定席とフリーアドレスの仕事場の環境として利用目的を明確にしています。
まとめ|間仕切りを使ったオフィスの空間づくり
オフィス空間を間仕切る方法には、4つの方法があることをご紹介しました。空間を間仕切る意味は、その空間に明確な使用目的を与えることにあります。
その使用目的と設置にかかる工期やコストなどを総合的に判断して、デザインの自由度が高く、防音性を高められる「造作壁」「施工型パーテーション」、あるいは、設置が容易で比較的安価な「ローパーテーション」「オフィス家具」のどちらで間仕切るのかを決めていきましょう。
また、空間を間仕切ることで社員の働き方やオフィスの環境に、どのような影響や変化があるかを考えることも大切です。
造作壁、施工型パーテーションで間仕切る場合は、躯体への専門的な工事も発生することから専門業者に相談をすると良いでしょう。
ローパーテーション、オフィス家具で間仕切る場合は、ローパーテーションの高さや収納庫の背面仕上げの状態を考慮する必要がありますので、不安なことや確認したいことがありましたらオフィス家具のショールームスタッフなどに相談してみましょう。
オフィスコムでは、オフィスの間仕切りからオフィス家具まで、オフィスのトータルプランニングをお手伝いしております。オフィスでのお困り事がありましたら、オフィスコムまでご相談下さい。
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