働き方改革、さらには新型コロナウイルスの流行を受け、テレワークを取り入れる企業が増加しましたが、今後もオフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリットワーク」が広がっていくことは間違い無いでしょう。
そのような中、オフィスのフリーアドレス化への関心が高まっています。
理由の一つに、オフィスは「協働」の場として部署の垣根を越えたコミュニケーションを重視する傾向が強くなったことがあります。
背景には、新しい商品やサービスを生み出すためのイノベーション力を高めたいという企業の期待があります。
しかし、企業側の一方的な思いとは裏腹にフリーアドレスの導入に対し面倒くさいと感じる社員も少なくありません。
新しい働き方は誰にとっても未知のことでありますし、フリーアドレスには「働きやすさ」という面においてデメリットがあるのも事実です。
そこで、本コラムでは、社員からフリーアドレスが面倒くさいと思われてしまう理由と、そう感じさせないための対応策について、さらにオフィスのフリーアドレス化を前向きに捉えてもらうためにできることについて解説したいと思います。
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社員がフリーアドレスを面倒くさいと感じる理由とは?
フリーアドレスの導入によって、社員は働き方を変えることが求められますが、変化に対して抵抗感を抱く人も多くいるでしょう。
本章では、なぜ社員がフリーアドレスを面倒くさいと感じるのか、その理由について見ていきます。
① どこに座るのか、毎日座る席を考えないといけない
フリーアドレスでは、出社すると社員は先ずどの席に座るのかを決める必要があります。
出社する度に座る席を決めなければいけないため、面倒くささを感じる社員もいます。
従来のオフィス、いわゆる固定席のようにあらかじめ座席が用意されているオフィスではそのような負担を感じることはありませんし、(経営側の課題意識は別として・・・)前後左右には毎日同じメンバーが座っているため、精神的な安心感も感じられるかもしれません。
② 誰がどこに座っているか分からない(ので人を見つけにくい)
毎日座る席が変わるため、誰がどこに座っているのか、出社しているのか、または、外出しているのか、ただ離席しているだけなのか、把握しにくい点が面倒くささを感じさせるところでもあります。
このような状況では、必要なときに必要な相手をすぐに見つけられないため、業務が止まってしまい、業務効率を落とすことにもなりかねません。
③ 荷物を自分で常に管理しなければならない
固定席で使われる机には引き出しやキャビネットが付いていると思いますが、フリーアドレスオフィスで使われる机には引き出しが付いていません。
そのため、文房具やパソコン、書類など、仕事に必要なものは基本的に自分で持ち運ばなければならず面倒くささを感じてしまうでしょう。
また、貴重品の管理も固定席よりも注意を払う必要があります。
机に鍵付きのキャビネットが付いていないため、貴重品を置いたまま離席してしまうと盗難のリスクも考えられます。
オフィスがきれいになるメリットはありますが、社員にとっては荷物の管理が求められるため、業務を行うにあたって負担をかけてしまう面もあります。
④ ノートパソコンでの仕事が基本となるから
毎日席を移動しなければならないフリーアドレスオフィスでは、デスクトップ型のパソコンが使えないため、基本的にノートパソコンを使うことになります。
業務内容によっては、高性能なパソコンや大きなモニターが必要な場合があり、ノートパソコンでは動作が遅くなるために業務効率を落とさせてしまう可能性があります。
また、通信速度も業務を滞らせる原因になるかもしれません。
フリーアドレスオフィスでの通信手段は無線LANが基本となるため、有線LANに比べ通信速度が不安定になりがちです。
このように業務効率という点において、社員に面倒くささを感じさせてしまうことになるかもしれません。
- 関連記事
- フリーアドレスの導入になぜ失敗してしまうのか?その原因と成功のポイントについては、関連記事 「フリーアドレスの失敗・廃止の原因とは?成功させるポイントを解説!」 にて解説しております。あわせてご覧ください。
社員からフリーアドレスを面倒くさいと思われないための対応策とは?
会社にとってはある目的のために導入したフリーアドレスでも、社員が面倒くさいと感じてしまえば、その目的も達成できません。
本章では、社員からフリーアドレスの導入を面倒くさいと思われないための対応策について5つのポイントに絞って解説します。
① ランダムに席を決めるアプリを導入する
人数と席の配置を設定することで席をランダムに決めてくれるというアプリがあります。
このようなアプリを活用することで、毎日の席替えの負担を軽減することができます。
不公平感なく席替えができるのもアプリの良い点です。
② 席予約システムを導入する
席予約システムとは、出社したらその日に使用する座席を予約するシステムです。
座席の予約だけではなく、誰がどこにいるかも分かるため、わざわざ人を探すような時間的ロスが発生しなくなります。
座席の予約や確認は、パソコンやスマホでできるため、多様化したワークスタイルに対応した利便性の高いシステムだと言えます。
また、リモートワークを想定して社員数分の座席数を用意していないオフィスもありますので、座席を予約することで事前に座席の空き状況を把握できる点は時間の効率化になります。
③ キャスター付きの収納ボックスを用意する
フリーアドレスではカタログや書類、文房具などを自分のデスクで保管することができないため、その都度、パーソナルロッカーや共有の書庫などから持ち運ばなければなりません。
荷物が多くなれば持ち運びの際に負担となります。
キャスター付きの収納ボックスを予め用意しておけば、社員は荷物が多くなっても持ち運びが楽になるため働きやすさに繋がるでしょう。
④ 部署やチーム単位でフリーアドレスを導入する
全社的にフリーアドレスにすると、選択の幅が広すぎて面倒に感じる可能性があります。
フリーアドレスの運用に慣れない内は、部署やチーム単位でフリーアドレスをテスト的に導入することをおすすめします。
また、業務によってはメンバーが散らばることで業務が滞ってしまうこともありますので、完全フリーアドレスにするか、グループアドレスにするかは業務状況をしっかり調査した上で慎重に検討する必要があります。
レイアウト変更楽々!キャスター付きフリーアドレスデスク、人数に合わせて増設することで少人数から大人数まで対応できるフリーアドレスデスクなど様々なタイプのフリーアドレスデスクを取り揃えております。
⑤ 職種や業務内容によって高スペックのパソコンを用意する
クリエイター系のように専門的なソフトウェアを利用する職種の場合、高い処理能力を持ったパソコンを用意し、業務効率が落ちないような対策をとる必要があります。
スムーズに作業ができないと、作業効率を落とさせてしまうことになりかねません。
また、パソコンのスペックと同様に、通信速度の課題もあります。
ノートパソコンの場合、基本的には無線LANを使うようになりますが、有線LANに比べ通信速度が不安定になりがちです。
有線LANでネット接続ができる席を別途設けておく必要もあります。
社員にフリーアドレスの導入を前向きに捉えてもらうためにできることとは?
これまで、社員がフリーアドレスを面倒くさいと感じる理由とそれに対する対応策について解説してきました。
最後に、社員にフリーアドレスの導入を前向きに捉えてもらうためにできることについて解説したいと思います。
導入の目的を社員に周知する
何の説明もなく「好きな席で仕事をしていいですよ」と突然言われても、何のためにフリーアドレスを導入したのか、その目的が社員に示されてないのであれば、今まで特に仕事上問題はなかったのに、働き方をなぜ変えてしまったのか、社員は戸惑うことになります。
導入の際には、社員に「なぜフリーアドレスを導入するのか」「(社員に)どのようになることを期待しているのか」など、目的を周知し、社員の理解と納得を得ることがとても重要です。
運用ルールを明確にする
現在のオフィスでも飲食のルールや掃除のルールなど、共有スペースとして社員が気持ちよく使うための「共通ルール」を設けていると思います。
フリーアドレスオフィスでは、座席の自由度が高い、騒がしくなりがち、人の居場所を特定しにくい、などといった特性から新たに決めておきたいルールがあります。
一例を挙げると次のようなものがあります。
- 席が固定化されないためのルールを決める
- 共用座席(スペース)の使用ルールを決める
- 業務内容に合わせたオフィスレイアウトにする
- 電話や郵便物の取次ルールを決める
このように、仕事をする上でフリーアドレスのデメリットとなる点を補うようなルールが必要です。
- 関連記事
- フリーアドレスを成功させる運用ルールについては、関連記事 「フリーアドレスのメリット・デメリットとは?導入の流れと成功事例をご紹介」 にて解説しております。あわせてご覧ください。
フリーアドレス化のプロセスに社員を巻き込む
なぜフリーアドレスを導入してまでわざわざ働き方を変えなければいけないのか、目的や理由を知らされていなければ、面倒に感じてしまうのも無理はありません。
なぜなら、すでに業務効率が良くなる方法を確立していたり、長年の経験による「慣れ」による働きやすさがあるからです。
フリーアドレスの導入を前向きに捉えてもらうためには、自分たちにとってどんなメリットがあるのかを明確に示し、レイアウト設計や家具の選定などのプロセスに社員を巻き込んでいく「全員参加型」のオフィスづくりをすることです。
自分ゴト化することで社員も前向きに捉えるようになります。
まとめ|面倒くささの解消は社員の「負担」を取り除くこと
固定席のオフィスに慣れている人にとってフリーアドレスオフィスは自由度が高すぎて、かえって仕事をしにくいオフィスになる可能性があります。
特に固定席型オフィスからフリーアドレスオフィスにリニューアルする場合は、社員にとって負担が大きくなるでしょう。
この「負担」こそが面倒くささの原因です。
本コラムでは、フリーアドレスの導入を面倒くさいと思われないためにできる対応策、そしてフリーアドレスの導入を前向きに捉えてもらうためにできることについても解説しました。
会社側ができることは、この「負担」を取り除いていくことです。
つまり、社員にとって働きやすいオフィスになるよう、フリーアドレスのデメリットを解消していきます。
会社が社員に一方的に押し付けるのではなく、社員と一緒に働きやすいオフィスづくりを目指すことがとても重要になります。
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