Number #01

柔軟な働き方を実現して
社員の満足度をアップするオフィス

Introduction
イントロダクション(背景)

マスク、ソーシャルディスタンス、アクリル板を挟んでの会話、Webミーティング、テレワーク・・・コロナの流行以降、社員同士の距離がすっかり遠くなってしまいました。

しかし一方で、今まで当たり前だと思っていた働き方を見直す良い機会にもなりました。

コロナ禍で行動規制が実施されたことで多くの企業がテレワークを導入し、コミュニケーションのほとんどをオンライン上で行うようになりました。 このように働き方の変更を余儀なくされた結果として、時間を効率的に使うことや自律的に働くことに意識を向けるようになりました。 そして「必ずしも会社にいる必要はないのでは?」という疑問が生まれたことも私たちの働き方を再考する良い機会となりました。

「仕事」と一言で言っても一括りにはできません。 ひとりでもできる仕事、どこででもできる仕事、ひとりで集中したい仕事、みんなと一緒にする仕事・・・と仕事のタイプは色々あります。 今まで特に意識していませんでしたが、「仕事の内容にあった場所で働くことが仕事の効率を上げる」という考え方には納得させられました。

オフィスは、会社の仲間と一緒にする仕事を行うところ、集中したいときに集中できる場所があるところ、つまり、オフィスでしかできないことを提供する場だと思います。 「ひとりでもできる仕事」「どこででもできる仕事」は必ずしも会社で行う必要はありません。

働く場所は自分の裁量で決めることができた方が業務効率も生産性も上がるという思いに至りました。 この度のレイアウト変更(改装)では、働き方に柔軟性を持たせ、オフィスが社員にとって集まる価値のある場所となるようリニューアルしたいと考えています。 それが社員の満足度を高め、結果的に企業の成長へと繋がるのだと思います。

Issue
課題・目的・テーマ

本案件の課題

  • 社員同士の心理的、物理的な距離が遠くなってしまい、以前よりコミュニケーションの機会が減ってしまった。
  • 全員が毎日出社しないため、オフィス内にデッドスペースができてしまった。
  • 働き方が変わったことにより、非効率的なオフィスレイアウトになってしまった。
  • Webミーティングをする場所(集中できる場所)が足りない。

今回のリニューアルで実現・改善したいポイント

  • 社員のコミュニケーションの機会を増やしたい。
  • 社員同士の絆を深められるようなオフィスにしたい。
  • 業務効率を考えたオフィスレイアウトにリニューアルしたい。
  • 社員が仕事の内容に合わせ自律的に働けるオフィス環境にしたい。

Solution
ソリューション(解決方法)

Step1.コンセプト設計

解決方法|Step1 コンセプト設計

コンセプト : 「自由な働き方を応援する街」

街には、カフェ、レストラン、映画館、ファッションビル、オフィス、住宅、ホテル、公園...と、様々な施設が立ち並んでいます。 人々は、遊ぶ、買う、働く、学ぶ など様々な目的のために街を訪れます。

私たちワーカーは仕事をするためにオフィスに集まるわけですが、仕事の内容は多岐に渡っています。 例えば、メールの文章作成、会議前の資料確認などの事務的な作業、インターネット上で行われるWeb会議やオンライン商談、見積書の作成、企画や構想を練るような集中を要する業務、複数のメンバーが集まってグループでアイデアを出し合うミーティング など、様々な仕事が存在します。

新しいオフィスでは、「仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ」そのような多様な働き方を受け入れるオフィスを「街」になぞらえてデザインしました

また、魅力的な街にはたくさんの人が集まってきます。 訪れるだけで新しい発見や学び、そして刺激があるからです。 コミュニケーションを誘発し、社員が互いに刺激を受け合い「楽しみながら働く」場となるよう、オフィスの随所に仕掛けを施しました。

Step2.ゾーニング・動線計画

まず、オフィスをデザインする際には「どこに何を配置するか」を考えます。
自分たちのオフィスでの活動や生活などを思い起こし、どんなエリアが必要かを洗い出す作業を行います。 その上で、社員が働きやすい環境になるよう、各エリアの最適な面積と配置を決めていきます。 それがゾーニングという作業です。

さらに、各エリア同士をどのように配置するかを決める、動線計画を行います。 仕事のしやすさを考慮した配置にすることで業務効率が上がります。 動線によって人の行動が影響されるのも面白いところです。

本案件では、3階・4階の2フロア構成になっておりました。 そこで、3階を執務をメインとした空間、4階を社員が交流したり時にはリラックスできる空間としてメリハリを付けることにしました
それでは、各フロアのゾーニングと動線計画について見ていきましょう。

3階 : あらゆる仕事に適応!執務エリア

3階 : あらゆる仕事に適応!執務エリア

3階 設置エリア

① エントランス ② 執務エリア(メイン)
③ 執務エリア(サブ) ④ 集中エリア
⑤ ディスカッションスペース ⑥ チャットスペース

3階の執務空間は、通常のデスクワークを行う「執務エリア(メイン)(②)」、集中して業務に取り組むための「集中エリア(④)」、業務の途中でディスカッションやブレストなどをする「ディスカッションスペース(⑤)」、ディスカッションの後やミーティングの後、すれ違いざまに立ち話ができる「チャットスペース(⑥)」を設け、さらに、デスクワークや突発的に発生したカジュアルな打ち合わせなどで使用できる、格式ばらずに“ゆるく”使える「執務スペース(サブ)(③)」を設けました。

ワークスペースの座席数ですが、テレワークを導入したことで以前より出社人数が減ったことから、社員全員分の座席を20%程度削減しました。(執務エリア(メイン))。座席数を制限したことによりできたスペースに「集中エリア」「ディスカッションスペース」など、業務に合わせたエリア(スペース)を設けることができました。

ディスカッションスペース」にてブレストをした後に、メンバーにちょっと声をかけて確認し合ったりする場として立ち話ができる「チャットスペース」を、さらに深く話したいということであれば、目の前には、腰を下ろして話すことができる「執務スペース(サブ)」が存在します。コミュニケーションの場を「執務スペース(サブ)」側に寄せることで、「執務エリア(メイン)」や「集中エリア」ではなく、コミュニケーションスペースの方へと自然と人の動きを誘導するような配置、動線にしました。 このように、コミュニケーションを促すための動線づくりを意識したゾーニングになっています。

4階 : 交流に特化したスペースで”絆”を築く

4階 : 交流に特化したスペースで”絆”を築く

4階 設置エリア

① エントランス ② リフレッシュエリア
③ オンライン会議室 ④ 会議室
⑤ 社長室 ⑥ 仮眠室

エントランス(①)をぬけると、フロアの中心には社員が交流したりリラックスできる「リフレッシュエリア(②)」が広がります。4階のメインスペースです。部門や、職種、先輩後輩などの違いにかかわらず気軽に話すことができる、"ワイガヤスペース"として機能します。 仕事に限らず、気軽に雑談することで社員同士の絆を深めることを目的としています。社内イベントなどを行う場としても活用されます。

オフィスの一番奥に位置する部屋は「仮眠室」です。 元々あった個室を仮眠室として利用することにしました。 個室だからこそ、外から人の声や足音などの騒音を気にすることなくリラックスできるといったメリットを活かしました。

仮眠室もそうですが、4階には元々壁で仕切られた個室がありました。 今回は、壁を壊すことなく利用することとし、それぞれの部屋を「オンライン会議室(③)」「会議室(④)」「社長室(⑤)」「仮眠室(⑥)」として割り当てることにしました。 各部屋へは、オフィス内に入らなくても良いように、エントランスから各部屋へ直接入ることができる動線を設計をしました。

STEP3.レイアウト設計

大まかに「どこに何(スペース)を配置するか」が決まった後は、レイアウト設計を行います。 執務で必要なワークデスクやチェア、会議に必要な応接家具、書類などを収納するための収納家具、また、OA機器、電化製品など、オフィスワークで必要となる什器類の種類と必要台数をリストアップし、それぞれをどのように配置していくか、各スペースをどのように仕切っていくのか(間仕切りの配置)、また、法律に準拠した通路幅をきちんと確保できるか(通路幅の寸法)などを考え設計していきます。 ここでは、お客様の課題を解決するという観点から、要点を3つに絞ってご紹介したいと思います。

人が行き交うことを想定したゆとりのある通路幅

レイアウト設計 : 人が行き交うことを想定したゆとりのある通路幅

本案件の特徴は、各スペースの面積を通常のオフィスよりも広く確保しているところです。 「人数が増えてオフィスが狭くなってしまった」という声はしばしば聞かれますが、本案件では、ハイブリッドワークの導入により出社人数が以前より減ったことで、スペースにゆとりを持たせることができたのは好条件でした。

人が自由に動き回ることを想定していたため、通常よりも通路幅を広く取りました。 例えば、ワークスペースで座席が背中合わせの場合、その通路幅は安全性を考え1600㎜以上確保したいところです。本案件のレイアウトでは、1800〜2000㎜と非常にゆとりを持たせることができました。 また、メインの通路幅も1600㎜程度ほしいところですが、本案件では約2400mmと、かなり余裕のある通路幅を確保することができました。

昨今では、健康経営の観点から社員のメンタルヘルスに配慮する企業も増えています。 窮屈なオフィスで働くことが精神的なストレスとなり、いつの間にか心の余裕を見失ってしまい、周りの人への気遣いを忘れがちになります。今回、「社員同士の絆を深められるようなオフィスにしたい。」というお客様のご要望がありましたが、社員が互いに気持ちよく働く環境をつくるといった観点からも空間的余裕はできるだけつくりたいところです

ディスカッションする場所もほしいけど、集中する場所も必要

本案件は、社員同士のコミュニケーションを活発にすることが、オフィスリニューアルの目的の一つでした。そのため、コミュニケーションする場所をできるだけ多く設けることを考えました。(※コミュニケーションを誘発する工夫については後述の「オフィスデザイン・インテリア」にてご紹介します。)

一方、仕事には集中を要する仕事もあり、そのような業務に適した場所を提供する必要もあります。「業務効率を考えたオフィスレイアウトにリニューアルしたい。」とのご要望もあり、業務内容に合わせたエリアを設けることで業務の効率化を図ることも同時に考えました。

しかし、同じフロア内に、コミュニケーションを目的としたスペースと集中力を要する仕事を行うためのスペースをどのように混在させれば良いか?という課題がありました。 そこで次のような手順でレイアウトを考えてみました。

レイアウト設計 : ディスカッションする場所もほしいけど、集中する場所も必要

まず、仕事の種類とどの程度の遮音性が必要かについて整理しました。 その結果、主に①通常のデスクワーク(遮音の必要性:中) ②資料作成など集中力を要する業務(遮音の必要性:高) ③メールの作成や電話、偶発的なカジュアルコミュニケーション(遮音の必要性:低)の3つに分類できました。

次に、集中力の度合いによってグラデーションを付けてレイアウトをしていきました。 ①通常のデスクワークは、遮音性にそれほど気遣う必要がないため、周りのスペースに「フォンブース」やカジュアルなコミュニケーションを目的としたスペースを配置しています(執務エリア(メイン))。

レイアウト設計 : 資料作成など集中力を要する業務(遮音の必要性:高)

②の資料作成など集中力を要する業務をするスペースは高い遮音性が求められるため、一番端のエリアに配置しました(集中エリア)。 また、「集中エリア」と「ディスカッションスペース」の間は、十分な距離を確保し、さらに、空間を隔てる収納兼パーテーションの役割を担う収納棚を設置しました。

レイアウト設計 : メール作成や電話、偶発的なカジュアルコミュニケーション(遮音の必要性:低)

③メールの作成や電話、偶発的なカジュアルコミュニケーションは、特に遮音性が求められないことから、ディスカッションスペースに隣接する場所に設けました(執務エリア(サブ))。このエリアは、突発的な打ち合わせも対応できるようファミレス席やカフェテーブルを設置することでコミュニケーションを取りやすいレイアウトにしました。

社員同士が繋がる「部屋同士を壁で仕切らない」レイアウト

一点目の課題であった「社員同士の距離が遠くなってしまい、以前よりコミュニケーションの機会が減ってしまった。」に対する解決方法を考えてみたいと思います。

コミュニケーションを促す方法はいくつもありますが、そのひとつとして「社員が社内を自由に動き回ることでコミュニケーションを促す」という方法があります。

よく見られるオフィスレイアウトは、執務室、会議室、休憩室といったように、各エリアが壁で仕切られており、それぞれが部屋として独立するレイアウトだと思います。 本案件では、人の移動を促すために、各エリアを壁で仕切ることは極力せず、柄の違うフローリングをエリアごとに張り替えることで、それぞれのエリアを区分けし、 各エリアが緩く繋がることで、自然と人が集まるような仕掛けを施しました。

また、コンセプトである「自由な働き方を応援する街」のように、社員が行き交い、皆が明るく楽しく働く、活気あるオフィスをイメージし、温かさや居心地の良さ、そして安心感を与えるベージュ、アイボリー、グリーンなど、ナチュラルカラーのフローリングを採用しました。

Design & Interior
オフィスデザイン・インテリア

お客様が抱えていらっしゃる課題や実現したいご要望に対してデザインの面から行ったアプローチ方法をご紹介します。

Issue1.社員のコミュニケーションの機会を増やしたい。

ディスカッションスペース

社員のコミュニケーションの機会を増やしたい。

「新しいアイデアは人と人の会話から生まれる」という考えのもと、さまざまなコミュニケーションの形に対応したスペースを設けました。 そのひとつがメインの執務スペースに隣接するディスカッションスペースで、誰でもいつでも自由に使用できるオープンスペースとなっています。 あえて壁などで仕切らず開かれたスペースにすることで、偶然通った人が気軽にコミュニケーションの輪に参加するといったことも想定しています。 また、円を描くようにソファを配置することで、程よく肩の力が抜け、会話が弾み、柔軟な発想が生まれやすい雰囲気づくりにも配慮しました。

執務スペース(サブ)

執務スペース(サブ)

歩道に広がるカフェのテラス席をイメージしたスペースです。 正面奥の壁はウォールアート風の壁紙で仕上げ、おしゃれな街中にいるような印象を演出しました。 カフェでは会話を楽しむ人やひとりで読書をする人など、様々な人が集います。 そんなカフェのように、社員が様々な目的で使用できる場所として設置しました。 作業の合間に束の間の休憩を取りたいとき、コーヒー片手に少しラフな雰囲気で作業をしたいとき、カジュアルなミーティングをしたいとき、カフェブレイクをしながら同僚と過ごしたいとき、あるいは先輩に相談したいときに利用する場所としても機能します。

チャットスペース

チャットスペース

ディスカッションスペースの脇にはチャットスペースを設置しました。 街中でたまたま会った友人とガードレールにもたれて雑談で盛り上がる…そんなシーンをイメージして通路脇にヒップレスト(寄りかかりベンチ)を設けました。 ディスカッションを終えたメンバーが、隣のスペースに立ち寄ってコミュニケーションを取ったり、座って話すまでもない軽い相談などのために利用できる場所です。 また、通路脇の壁を黒板塗装で仕上げることで、会話の中で浮かんだアイデア等を書き留めることができます。また、社内掲示板として皆が足を止めて楽しめるような情報を書き込んでも楽しいかもしれません。

休憩スペース

休憩スペース

4階には、街中の公園をイメージした休憩スペースを設置しました。 木陰でほっと一息着くようなリラックスタイムを演出します。 床の貼り分けや天井の塗分けによって、木陰で休憩しているような感覚を覚えます。 スペースの脇に設置した小屋型のカウンターにはコーヒーサーバーや雑誌等を置くことで、コミュニケーションスポットを作りました。 コーヒーを淹れる少しの間はコミュニケーションの絶好のチャンスです!

休憩スペース

スペースの奥には、4人掛けのテーブル席やソファー席を置き、複数人でランチタイムを楽しめる場を設けました。 食事をしながらたわいもない会話をすることでいい気分転換となり、再びスッキリした気持ちで作業に取り組むことができます。

Issue2.周りに気兼ねなく電話ができる場所が欲しい。

フォンブース

フォンブース

執務スペース(メイン)の後方壁面にフォンブースを設置しました。 フリーアドレス席によくある「電話問題」。 周りが静かに仕事をしている環境で電話をするのは気が引けるという声をよく聞きます。 デスクワーク中に電話がかかってきたときでも、気兼ねなく話しができる場所を執務スペースの近くに設けました。 フォンブース内は吸音パネルや吸音効果のある木毛セメント板で仕上げることで、オープンなオフィスでも周囲の音を気にせず会話することができます。 また、フォンブースは収納棚と一体になっているので、業務上必要な資料や物品を収納することができます。

Issue3.Webミーティングをする場所が足りない。

オンライン会議室

オンライン会議室

海外の街中に並んだ電話ボックスをイメージしたレトロテイストのWEB会議用スペースです。 昨今では社内外問わずWeb会議が当たり前となり、その機会も増えました。 しかし、通常の会議室を占領するわけにもいかず、Web会議に適切な場所を新たに設ける必要がありました。 そのようなニーズから新たにWeb会議専用の個室を3部屋設けました。 防音壁で仕切ることで音漏れを気にせずに会議を行うことができます。 また、個室内の壁はシンプルに白いビニルクロスで仕上げることで、背景を気にすることなく会議に集中することができます。

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