オフィスの集中ブース・個室ブースとは?設置メリットや選び方を紹介

   
オフィスの集中ブース・個室ブースとは?設置メリットや選び方を紹介

集中ブース(個室ブース)は、社員が業務に集中して取り組むことができるように設けられたスペースです。
固定席を撤廃したフリーアドレスオフィスや、仕事の内容に合わせて働く場所を選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)型の働き方が普及していく中、周囲の音や視線を気にせずに業務が行える、集中ブースのニーズは高まっています。

この記事では、オフィス内に集中ブースを設けることで得られるメリットや、集中ブースの選び方を紹介します。
さらに、集中ブースの設置事例についても見ていきましょう。

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オフィスの集中ブースとは、社員が業務に集中できるスペースのこと

集中ブースとは、社員が業務に集中して取り組めるように設けられたスペースを指し、個室ブースやワークブースと呼ばれることもあります。
集中ブースといってもさまざまなタイプがありますが、多くの場合、オープンスペース内で壁や天井などを設置し、オープンスペースで生じる音と視線を遮断します。
このような対策によって、集中ブースの中は隔絶された静かな環境となり、社員は業務に集中して取り組めるようになるのです。

集中ブースは一人用のものが多い傾向がありますが、複数名のミーティングやWeb会議に対応できる集中ブースも存在します。
ちなみに、一人用の集中ブースであれば、わずかなスペースでも設置が可能です。
大掛かりなオフィスのレイアウト変更をしなくても設置でき、導入における手間やコストはあまりかかりません。

オフィスに集中ブースを設置する企業が増えている理由

オフィスに集中ブースを設置する企業が増えている背景には、オフィスが抱える課題と、オフィスに対するニーズがあります。
一般社団法人日本オフィス家具協会が2017年3月に公表した、オフィスワーカーがオフィス環境に対して求めているものに関する調査結果は、下記のとおりです。

■ オフィスワーカーがオフィス環境に求めるもの

この調査結果では、「集中して仕事ができるように工夫されていること」や「仕事上、関係の深い機器等の装備は使いやすい配置となっていること」を求める社員が多いことが明らかになっています。
オフィスワーカーは、個人業務の効率性を上げるスペースやレイアウトを重要視しており、「集中できるオフィス環境」の整備は、社員個人の業務効率アップに寄与するものだと推察できるのです。

さらに、働き方改革や新型コロナウイルス感染症への対応を経た近年のオフィスでは、Web会議を行う機会も大幅に増加しました。
特に、顧客とのWeb会議においては、周囲の音や視線を遮断しやすい集中ブースが必要不可欠といえるでしょう。
このような背景から、オフィス内の集中ブースへのニーズは高まっているのです。

オフィスに集中ブースを設置するメリット

オフィスに集中ブースを設置するメリット

集中ブースの設置は、社員と企業に多くのメリットをもたらします。
ここでは、集中ブースを設置する主なメリットをご紹介します。

個人業務への集中力が高まり、生産性向上につながる

集中ブースでは、周囲の音や視線を遮断した状態で、自身の業務に集中できるメリットがあります。
業務中にほかの社員が移動しているのが視界に入ったり、話し声が聞こえたりすると、人間はどうしても集中力を失ってしまいがちです。
しかし、集中ブースの設置によって、周辺環境に惑わされることなく、業務に集中して取り組めます。
結果として、生産性の向上にもつながるでしょう。

Web会議やオンライン商談に活用でき、会議室不足の解消につながる

集中ブースを設置することは、Web会議やオンライン商談のほか、オンライン研修やウェビナー(Webセミナー)に参加する際の、場所の確保にも貢献します。

Web会議やオンラインの商談などでは、音と映像を共有します。
オープンスペースの席で参加する場合、相手に自分の周囲の雑音が届いてしまったり、自分の話し声が周囲に迷惑をかけてしまったりする可能性があります。
しかし、会議室の少ないオフィスでは、タイミング良く場所を確保できないかもしれません。
このような場合、オフィスに集中ブースが設置されていれば、会議室の代替場所として活用可能です。
周囲の音と視線をある程度遮断した状態で、Web会議やオンライン商談に臨むことができるでしょう。

また、一人用以外の集中ブースなら、複数名による突発的な会議にも活用できるメリットがあります。
ただし、集中ブースを使うほかの社員の業務の妨げにならないよう、ルール決めや配慮が必要です。

フリーアドレスオフィスでもセキュリティを確保できる

集中ブースのメリットとして、フリーアドレスオフィスでもセキュリティを確保できる点が挙げられます。
フリーアドレスオフィスでは、部署を問わずさまざまな社員が行き来したり、近くに座ったりします。
そのため、パソコン画面上の機密情報を部署外の社員に見られるリスクが高くなるのです。

集中ブースを設置すれば、自身の背後から覗かれることなく業務を行えます。
特に、社外秘・部外秘のデータを取り扱う部署がある場合には、集中ブースの設置が望ましいといえるでしょう。

オフィスにおける集中ブースの選び方

集中ブースにはいくつかのタイプがあり、目的に応じたものを選択することが重要です。
ここでは、オフィスに導入できる集中ブースのタイプをご紹介します。

① フルクローズタイプ:遮音性が高くWeb会議も可能

フルクローズタイプ

フルクローズタイプの集中ブースは、床と壁のほか、天井まで完全に覆われています
完全に外部から遮断された空間になるので遮音性が高く、集中して業務に取り組む場合やWeb会議やオンライン商談などにも適しているでしょう。
1人用はもちろん、小規模な会議に利用できる4人用ブースもあります。
ただ、フルクローズタイプは建築基準法や消防法の対象となるため、設置前に確認が必要です。

② セミクローズタイプ:適度なパーソナルスペースを確保できる

セミクローズタイプ

セミクローズタイプの集中ブースは、天井や扉など一部がオープンになっています
完全なパーソナルスペースではないものの、壁によってオープンスペースとは適度な距離を保てる点がメリットです。
場合によっては、ほかの社員からの声掛けにも随時対応できるでしょう。
なお、セミクローズ型の集中ブースは、建築基準法や消防法の対象外です。
フルクローズタイプに比べると省スペースかつ低コストで設置できたり、社員だけで組み立てられたりするメリットもあります。

③ ソファタイプ:リラックスしながら個人業務に集中できる

サイドテーブル付きソファの左右をパネルで囲った、ソファタイプの集中ベースもあります。
ソファでリラックスしながら、適度なパーソナルスペースを確保することが可能です。
一人でアイデア出しに集中したい場合や、少し気分をリフレッシュさせたい場合に効果的といえるでしょう。
一方で、ソファタイプはほかの集中ブースに比べてテーブルが小さく、紙の資料を確認しながらパソコン作業に集中するような場合には、あまり適さないといえます。

④ パネルタイプ:狭いスペースにも設置可能

パネルタイプ

左右をパネルで仕切ったパネルタイプの集中ブースは、狭小なスペースでも設置できるメリットがあります。
隣席と距離は近いものの、視線を遮ることができるため、集中して個人業務に取り組むことが可能です。
防音パネルを利用すれば、遮音性を高めることもできるでしょう。
ただし、注意したいのは、自身の背後からパソコンの画面が見えてしまうことです。
Web会議などを行う際も、自身の後方の映り込みに注意しなければなりません。

⑤ 置き型パーテーションタイプ:既存のデスクを活用できる

既存のオフィスレイアウトをできる限り変更せずに集中ブースを設置したい場合は、置き型パーテーションが効果的です。
パーテーションを設置し、オフィスのデスク間を区切るだけで、集中ブースを作ることができます。
また、卓上タイプのパネルを使うことで、業務に集中するためのプライベートスペースを一時的に設ける方法が採られる場合もあります。

関連記事
防音性に優れた完全個室型の集中ブース(ワークブース)については、関連記事 「ワークブース導入のメリットとは?Web会議からグループワークまで目的に合った選び方を解説」 にて解説しております。あわせてご覧ください。

オフィスに集中ブースを設置する際のおすすめのエリア

フィスに集中ブースを設置する際のおすすめのエリア

集中ブースを効果的に活用するためには、オフィス内のどこに設置するのかを十分検討する必要があります。
ここでは、集中ブースの設置に適したエリアについて見ていきましょう。

人の出入りが少なく動線を妨げないエリア

集中ブースは人の出入りが少なく、動線の妨げにならないエリアに設置しましょう。
人の行き来が多い場所に設置すると、往来の邪魔になってしまうおそれがあります。

会話や音が届きにくいエリア

集中ブースは、できる限り音が届きにくいエリアに設置するのがおすすめです。
会話が多くなりやすいミーティングスペースやリフレッシュエリアなどの近くは避けてください。
集中ブースでWeb会議を行う場合を想定し、Web会議用と作業用でゾーニングするのもいいでしょう。

周囲の視線を感じにくいエリア

集中ブースは、周囲の視線を感じにくいエリアに設置するようにしてください。
オープンスペースの出入口付近や中央部分など、外部からの視線が集まりやすい場所は、作業者の集中力が途切れる可能性があります。
設置する際には、オフィスの隅や壁際などを選びましょう。

景色が望める窓側のエリア

窓に面して景色が望めるエリアは、作業の集中時と休憩時における切り替えに適しています。
休憩時に外を眺めることで目の疲れを癒やし、適度にリフレッシュできるでしょう。
窓から入る自然光によって、ストレスを軽減する効果も期待できます。

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オフィスに集中ブースを導入する際の注意点

集中ブースの設置が生産性向上につながるよう、最適な形の導入を目指したいところです。
ここでは、集中ブースを導入するにあたって、注意したいポイントをご紹介します。

① 遮音性を確認する

集中ブースで業務に集中するためには、一定レベルの遮音性が必要です。
設置するエリアによっては遮音性を確保できない場合があるので、導入時によく確認しましょう。
必要に応じて、遮音性や吸音性の高い素材を使用した集中ブースを選ぶようにしてください。

② 設置スペースを確保する

集中ブースの設置においては、タイプと数に応じた設置スペースを確保しなければなりません。
ただし、大きな集中ブースを選んだり、ブースの設置スペースを広く確保したりすると、それ以外のオープンスペースが圧迫されます。
敷地全体のバランスをよく考えて設置スペースを確保しましょう。

③ 使用人数に合わせて個数を準備する

集中ブースのニーズをよく調査し、使用すると想定される人数に合わせて、必要な個数を準備しましょう。
集中ブースの数が少ない場合、必要なときに使えない社員のストレスが蓄積します。
反対に、必要以上にブースを設置すると、スペースと設置コストの無駄になるので、いずれも注意が必要です。

④ 法令を遵守する

天井まで覆われたフルクローズタイプの集中ブースは「居室」という扱いになり、建築基準法や消防法に抵触する可能性があります。
消防法の対象となる場合は、管轄消防署に書類申請が必要となるため、忘れずに行ってください。
なお、費用はかかるものの、消防関連書類の作成・申請を代行する業者もあります。

⑤ 利用ルールを決め、社員に周知する

集中ブースを導入する際は、あらかじめ利用ルールを定め、社員に周知しておく必要があります。
具体的には、集中ブースでの飲食の可否やWeb会議の可否のほか、使用時間・使用回数の上限などが該当します。

⑥ 空調対策をする

集中ブースにおける空調にも対策が必要となります。
例えば、フルクローズタイプの集中ブースは密閉されてしまうため、室内の暑さ対策が必須です。
フルクローズタイプ以外の集中ブースについても、設置した壁やパネルによってオフィス全体の空調機器の効きに影響を与える可能性があります。
エアコン付きの集中ブースを選んだり、サーキュレーター・扇風機を設置したりといった対策が求められます。

オフィスの集中ブースの設置事例

集中ブースを設置する場合、具体的な事例も見ておきたいと考える人も多いのではないでしょうか。
最後に、オフィスコムが手掛けた集中ブースの設置事例をご紹介します。

用途や気分に応じて選べるよう、集中ブースを豊富に設置

周囲の音や視線を遮断して業務に取り組めるフルクローズタイプの集中ブースや、複数名での打ち合わせにも利用できるソファタイプの集中ブースなど、さまざまな形状の集中ブースが設けられたオフィスです。
多種多様な集中ブースを、作業内容や気分によって使い分けられます。

ローパーテーションを組んで、セミクローズ型の集中ブースに

ローパーテーションを組み合わせて作ったセミクローズタイプの集中ブースと、複数名で利用できる対面のソファタイプの集中ブースが導入されたオフィスです。
パーテーションを設置するだけで組み上げられるセミクローズタイプの集中ブースは、省スペース・低コストで導入可能です。

パネルやソファで集中できる環境を整える

隣席との区切りを設置した集中ブースや、ソファタイプの集中ブースを設置したオフィスです。
個室席エリアとシェアエリアをそれぞれ設けることで、一人で集中して業務に取り組みたいときと、働く仲間の中で仕事をしたいときの使い分けがしやすくなっています。

明るくオープンなオフィスで窓際を集中スペースに

仕切り用パネルは設けられていないものの、隣席との距離を広く取って窓に向かい合うことで、集中しやすいスペースを作っています。
一般的な島型レイアウトのスペースとは異なり、隣席を気にせず、広々とした環境で作業に取り組めます。

まとめ|集中ブースでオフィスの生産性向上につなげよう

オフィス内に集中ブースを設けることで、社員の働きやすさの向上や生産性向上のほか、セキュリティ対策といった多くのメリットを得ることができます。
省スペースで設置できる集中ブースや、現在のオフィスレイアウトを活かした集中ブースもありますので、ニーズやオフィス環境に合わせて導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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