オフィスのリニューアルや移転、ITインフラの増強をする際に、新たに「OAフロア」を導入する企業が増えています。
OAフロアを設置すると、床上の配線を二重床下に収納でき、オフィス内をすっきりとした印象にすることが可能です。
ただし、OAフロアの分だけ床が高くなるため、オフィス全体が狭く感じられることもあります。
OAフロアの高さをどれくらいにしたらいいのかは、迷うところではないでしょうか。
そこで今回は、OAフロアを導入する際のポイントや、OAフロアの種類と選び方について解説します。
快適で効率的なオフィス環境を実現するためにOAフロアの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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OAフロアは床の高さを上げて配線を収納するための二重床
OAフロアとは、パソコンやプリンターなどのオフィス機器に必要な電源ケーブル、ネットワーク接続のためのLANケーブル、電話線といった各種配線を収納するための空間を床の上に取り、その上に別の床を設けた二重床のことです。
正式名称を「フリーアクセスフロア」といいます。
なお、OAとはオフィスオートメーション(Office Automation)の略で、デジタル機器を用いてオフィス業務の省力化を図ることを指します。
デジタル機器が設置されたオフィスには配線が増えてしまいますが、OAフロアであれば床下に隠すことができるので、見た目がすっきりとして、ケーブルに足を引っ掛けて転倒することもありません。
オフィス物件に入居する際には、入居者が新たにOAフロアを設置することも可能です。
この場合、OAフロアの高さや素材は、入居者が自由に選定できます。
利用目的やオフィスの天井高などを考慮し、最適なOAフロアを選びましょう。
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OAフロア導入時に確認すべきポイント
OAフロアは、どんなオフィスでも自由に設置できるわけではありません。
導入にあたっては、下記の3点について考慮し、自社のオフィスにどのようなOAフロアが適切なのかを検討しましょう。
① オフィスの用途
OAフロアの導入にあたっては、オフィスの用途を明確にしておくことが大切です。
オフィスでどのような業務が行われるのかは、必要な配線量に影響します。
例えば、社員の多い大規模オフィスでは、将来的な人員増加や業務拡大によって、今後も配線量が増えることがあるでしょう。
その場合は、配線量を増やせるタイプのOAフロアを選ぶ必要があります。
また、すでに大量の配線があるIT関連の企業やコールセンターのような業種では、配線を整理しやすいタイプのOAフロアのほうが向いています。
一般的なオフィス用途であれば、コストを抑えられるOAフロアの選択も可能です。
このように、オフィスの用途によって選ぶOAフロアが変わるため、導入前に今後の業務内容について想定しておく必要があります。
② 設置できる床の高さ
OAフロアを導入する際には、現在のオフィスでどれくらいの床高まで設置できるか確認が必要です。
OAフロアの床高は、配線量やオフィスの天井高を考慮して選択します。
床下に多くの配線を収納する場合は、高めの床高が必要です。
OAフロアの高さには、主に30mm ・ 50mm ・ 75mm ・ 100mmの4種類があります。
一般的な天井高の2.5~2.6m程度のオフィスで利用できるのは、30mmまたは50mmのOAフロアです。
多くの配線を収納したい場合は、天井高とのバランスを考えながら、50mm以上のOAフロアを検討するといいでしょう。
ただし、床が高すぎると天井が低く感じられ、圧迫感を与えることもあるため、オフィス全体のバランスを見て適切な高さを選ぶことが重要です。
③ OAフロアの耐荷重
OAフロアは、パネルの素材などによって耐荷重性能が異なります。
床の上に置くオフィス機器や家具などの重量に合わせて、適切な耐荷重のパネルを選ぶことが大切です。
OAフロアの耐荷重は「N(ニュートン)」で示され、1Nは約0.102kgの重量に耐える力を表します。
例えば、3000N/㎡のパネルであれば、おおよそ1㎡あたり300kgの荷重に耐えられることになります。
一般的なオフィスの場合は、3000N/㎡の耐荷重を持つパネルで十分でしょう。
なお、サーバールームのように機器が多いオフィスや、重量のあるラックを設置するようなオフィスでは、5,000N/㎡など、より耐荷重の大きいパネルを選ぶことをおすすめします。
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OAフロアのタイプ
OAフロアのタイプは、大きく分けて下記の3つに分けられます。
それぞれメリットとデメリットが異なるため、自社のニーズに合うものを選ぶことが重要です。
支柱タイプ(床高調整式)
支柱タイプ(床高調整式)は、高さの調節ができる支柱をオフィスの下地床に設置し、その上にパネルを敷いていくタイプのOAフロアです。
高さを細かく調節できるため、床の高さが場所によって異なるオフィスや、将来的に配線量が変わる可能性があるオフィスでも、柔軟な対応が可能です。
天井高が一般的な高さより高いオフィスや、将来的なレイアウト変更、配線量の増加が見込まれるオフィスなどに適しています。
置敷タイプ(簡易式)
置敷タイプ(簡易式)は、PP樹脂などの素材で作られた、支柱とパネルが一体になっているOAフロアです。
接着剤などを使うことなく下地床にパネルを敷き詰めて設置するため、比較的手軽で工期が短く、コストも抑えられます。
小規模なオフィスや短期間だけ使用するオフィス、将来リニューアルを予定しているオフィスなどにおすすめです。
ただし、高さを調節することはできません。
選ぶ高さによっては、配線スペースも限定的になります。
また、後から配線を増やそうとしても難しい可能性があります。
置敷タイプ(溝配線)
置敷タイプ(溝配線)も、パネルを敷き詰めて施工できるOAフロアです。
溝に沿ってケーブルなどを配線するため混線を防ぐことができ、整然とした配線ができます。
また、溝カバーを取るだけで配線を組み替えることができるため、専門業者に依頼しなくても配線の変更・増設が可能で、メンテナンス費用の面で優れているといえるでしょう。
一方で、あらかじめ配線の収容量が決まっているため、置敷タイプ(簡易式)に比べると収容量は小さくなってしまいます。
配線を整理する必要性の高いIT関連のオフィスや、配線管理に重点を置く事業者に適したOAフロアです。
- 関連記事
- OAフロアの種類別選び方については、関連記事 「【要点がわかる】OAフロアとは?種類と選び方のポイントを解説」 にて解説しております。あわせてご覧ください。
OAフロアの主な素材
OAフロアには、種類だけでなく素材による違いもあります。
それぞれ特徴があるため、目的に合った素材を選ぶことが大切です。
ここでは、4種類の素材の特徴を解説します。
① 樹脂製(再生ポリプロピレンなど)
樹脂製のOAフロアは、軽量で扱いやすく、施工も簡単です。
コストも抑えられるため、手軽に設置しやすい素材といえるでしょう。
将来的に、パネルの入れ替えや模様替えを行う際にも便利です。
ただし、耐荷重、耐久性はそれほど高くありません。
設置を検討する際は、オフィス家具や機器類の重さに耐えられるか確認しておく必要があります。
また、歩き心地があまりよくないという難点もあります。
② 金属製(アルミダイカストやスチールなど)
金属製のOAフロアは、高い耐荷重性能が魅力です。
重量のある機器類を設置したい場所では、金属製のOAフロアを検討してください。
耐久性も高く、長期的な使用にも耐えられます。
その代わり、パネルが非常に重いため、動かす場合は専門業者への依頼が必要です。
③ 複合製(コンクリート + 金属)
超高度強度軽量コンクリートと金属を組み合わせたOAフロアは、優れた耐荷重性能と耐久性を持ち、施工しやすいのが特徴です。
歩行感が良く、メンテナンスも少なくて済むため、長期間にわたって快適に使用できます。
ただし、費用としては高額になるため、導入には慎重な検討が必要です。
④ 複合製(ウッドコア + スチール)
木材を粉砕して接着剤で固めたウッドコアをスチールで挟んだ複合製のOAフロアは、CO2を固定化する効果があることから、環境に配慮されているとして注目を集めている製品です。
また、強度や耐久性もあり、比較的軽量で歩きやすさにも優れています。
OAフロアを設置するメリット
OAフロアを設置すると、社員にとって安全で働きやすいオフィス環境を構築することができ、さまざまなメリットがあります。
下記で詳しく見ていきましょう。
配線の整理と管理がしやすい
OAフロアを設置するメリットは、複雑な配線の整理や管理がしやすくなることです。
床下に配線を収納することができるため、オフィスの床に電源ケーブルやLANケーブルなどが這うことがなくなり、すっきりと整頓された空間を作れます。
また、置敷タイプ(溝配線)のOAフロアであれば、混線を防ぐこともできます。
柔軟にレイアウト変更ができる
OAフロアを設置することで、オフィスの柔軟なレイアウト変更が可能です。
デスクやオフィス機器類の配置を変更する際も、ケーブルなどを気にする必要がありません。
人事異動や人数の増減がある場合でも、より自由で柔軟なレイアウト変更が可能になります。
空調効率を改善できる
OAフロアのメリットに、空調効率を改善できることがあります。
OAフロアの床下は、換気スペースとして利用することも可能です。
床下に空気の層を作ることで、オフィス内に熱がこもりにくくなり、空調効率の向上につながります。
安全性が向上する
OAフロアを設置すると、オフィスの安全性が向上します。
配線を床下に収納することで、ケーブルなどにつまずいて転倒したり、断線したりするリスクを軽減できるためです。
コード周辺にほこりが溜まってショートすることも起こりにくくなるでしょう。
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OAフロアを設置するデメリット
OAフロアを設置するとさまざまなメリットを得られますが、デメリットになる面もあります。
OAフロアの導入を決める前に、下記の点について確認しておきましょう。
初期コストがかかる
OAフロアを設置するためには、コストがかかります。
材質の選択によっては、高額になることもあるでしょう。
コストを抑えたい場合は、パネルを安価なものにするなどの工夫が求められます。
また、施工費用も考慮しておく必要があります。
重量によっては設置に適さない場合がある
OAフロアの重量によっては、設置に適さないオフィスがあることに注意が必要です。
OAフロアは、樹脂製でも1㎡あたり約7kg以上、金属製では1㎡あたり約20kg以上とかなり重量があります。
入居している物件で設置が可能かどうか、建物の管理会社や契約先に確認しましょう。
高さの制約がある
OAフロアを設置すると、その分、床の高さが高くなります。
元々、天井の低いオフィスに設置する場合や、高さのあるOAフロアを選択した場合は、圧迫感が生じないか確認しておく必要があります。
高さのあるOAフロアを設置すると、スロープに必要なスペースも増加してしまうので注意しましょう。
- 関連記事
- OAフロアの種類別選び方については、関連記事 「【要点がわかる】OAフロアとは?種類と選び方のポイントを解説」 にて解説しております。あわせてご覧ください。
OAフロアの設置方法
続いては、OAフロアを設置する際の手順をご紹介します。
実際の施工にかかる期間は、設置するパネルの種類などによって異なります。
① アンダーシートを敷き詰める
最初に、床面を保護するためのアンダーシートを隙間なく敷き詰めて、床面を安定させます。
アンダーシートは、OAフロアの種類や設置環境に応じて選びます。
例えば、防音性を重視するオフィスでは、厚みのあるアンダーシートが適しているでしょう。
オフィス内に、既存のタイルカーペットなどが敷かれている場合は、それを剥がす工事から始めなければいけません。
床を底上げすることになるため、壁に貼られた巾木を剥がす場合もあります。
② OAフロアを敷き詰める
アンダーシートの上に、OAフロアのパネルを並べます。
支柱タイプ(床高調整式)のパネルを使う場合は、調整ツールで高さの調整を行います。
③ OAフロアの端部処理をする
オフィスの形状に合わせて、OAフロアの端部パネルをカットします。
カットは、オフィスの形や寸法に正確に合わせて行い、パネルが壁際にしっかりとフィットするようにしましょう。
カットした端部パネルを既存のフロアに敷き詰め、パネルが動かないようにしっかりと固定します。
④ 見切り材の取り付け
出入口などの段差が生じる箇所に、見切り材を取り付けます。
見切り材は、フロアと壁の境界や異なる高さのフロア間のつなぎ目をカバーし、美観を整えるとともに、安全性を確保するものです。
見切り材を正しく取り付けることで、OAフロア全体の仕上がりが美しくなり、事故を防ぐ安全な環境が整います。
⑤ スロープの取り付け
OAフロアと通常の床との段差を解消し、スムーズな移動を可能にするために、スロープを設置します。
スロープは、特に車椅子や台車を使用する場合に、安全で快適な通行を確保するために欠かせません。
OAフロアの高さが高くなるほど段差も大きくなり、適切な傾斜のスロープを確保するために必要なスペースも広がります。
OAフロアの高さを決める際には、スロープの設置を前提とした検討が必要です。
まとめ|OAフロアの高さは、オフィスの用途に合わせて検討しよう
OAフロアを設置する際には、オフィスの用途に合わせてOAフロアの高さや素材などを選定する必要があります。
収納したい配線の量とオフィスの天井の高さのほか、今後の用途やレイアウト変更の予定などを考慮し、適切なOAフロアの導入計画を立てましょう。
天井が低くなり圧迫感が増すと、社員の作業効率が低下するおそれがあります。
また、現在の配線量に合わせてOAフロアを選んでしまうと、将来的に人員や機器が増えた際に配線を収納しきれなくなるリスクも考えられますので、自社にとって最適なバランスを見極めることが大切です。
オフィス移転トータルサポート会社オフィスコムでは、OAフロアの設置を含むオフィスのトータルデザインと施工を提供しています。
OAフロアの設置や素材の選定などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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